わたしの宝物を三つ紹介します。

1.相国寺管長、有馬頼底師の書になる掛軸です。  
  相国大龍筆 二行物 「行到水窮処 坐看雲起時」

             相国大龍筆 二行物 
           行到水窮処 坐看雲起時
         青磁花入れに芍薬の花
          相国大龍師の御点前

 相国寺は京都御所の北隣に位置する京都五山の第一、金閣寺や銀閣寺の親寺に当ります。
 茶道のご縁で、大師にお願いし、私の著書「アフリカ縦断」旅行記を見て選んだ句です。
 読み下すと、「行きては至る水の窮まるところ、座しては看る雲の起こるとき」
 スメタナの交響詩「わが祖国」の「モルダウ」が、山間の渓流から大河に至る風景なら、
 この詩は、その逆で、川を上流に辿って、その尽きる処まで歩き、発して雲となる姿、
 大自然の大いなる循環を歌ったものです。

2.亡き父、孝雄が描いた絵、「春宵」「天童」「牡丹」
  素人ながら、精魂こめた繊細な筆致が出ています。

                「春宵」
              「天童」
              「牡丹」

 大正4年生まれだった父は、貧乏ながら、日本画の展覧会に連れってくれました。
 横山大観、川端龍子、前田青邨。
 呉服職人として、仕事が終わると、静かに自分の世界に入り込み、描いていました。

3.エチオピア、アビシニア高原の麓の村で購入しました。
  勇者の証「純銀に縁取られたライオンの爪」

             ライオンの爪
    ケニアとエチオピアを駱駝で旅する乙女
 フランスのニース海岸にて世界を達観したつもりの青年

 1971年4月6日から1972年7月4日まで、455日間にわたる世界貧乏旅行。
 特に、1971年5月17日に南アフリカ共和国ケープタウンに上陸してから、
 翌年2月3日、スペインの対岸、モロッコのセウダに至る262日間のアフリカ旅行。
 無謀な冒険旅行の象徴が、この宝物です。